鉱石の道を行く。(1)不夜城の跡・神子畑選鉱所 朝来市

兵庫県中北部における『鉱石の道』とは、
明治から昭和まで鉱山として栄えた明延・神子畑・生野の産業遺産を巡るルート。

11月初め、「神子畑(みこばた)選鉱所」 と「明延(あけのべ)鉱山」 跡へ。
どちらも素晴らしい圧巻の産業遺産でした!!

(ちなみに、3年前に行った生野銀山のブログは こちら→★ )
播但自動車道朝来ICで降りて、国道429号線を約10分。
紅葉の広がり始めた山里の中、
まずは、神子畑選鉱所の少し手前にある「神子畑鋳鉄橋」に立ち寄る。

明治時代に作られた、日本一古い鋳鉄橋!
(鉄製の橋としても日本で3番目に古い)

橋の全てが鋳物の鉄ってすごい〜
鋳鉄だから今でも頑丈で、とても綺麗!

レトロな橋は実際に触れたり渡ったりすることもできる。
現役感あり!
ここから車ですぐ、「神子畑選鉱所跡」に到着。

選鉱所の構内は立ち入り禁止なので、外から見学するのみ。
(駐車場は広く、見学施設も含めてすべて無料)

山の斜面を利用した階段状の選鉱所。
高さ75mの高低差、幅110m、長さ165mのコンクリート基礎が立ちはだかる。

スケールの大きさに圧倒される!
脇には選鉱所を上下に行き来していたインクライン(傾斜軌道)が伸びる。

手前の広場には、明延鉱山から神子畑まで鉱石や従業員を運んできた一円電車も展示。

丸く大きく、存在感のあるのシックナー。

シックナーとは、選鉱の最終工程である脱水・濃縮が行われた濾過装置。
どこを見ても、すごい形状。

廃墟感!

いい感じ。

神子畑は古くは鉱山として繁栄していたが、明治時代に採掘が不況となり閉山。
その後、大正8年明延鉱山から運び込まれた鉱石を選鉱する大規模な選鉱所として生まれ変わった。
規模も産出量も「東洋一の選鉱所」と謳われ、
夜中も稼働している姿は不夜城とも称されたらしい!
しかし、残念ながら昭和62年(そんなに昔じゃないことに驚く)、
円高の急激な進行により明延鉱山が閉山され、それに伴い神子畑選鉱所も閉鎖された。
現在、日本の近代化に貢献した産業遺産となった。
敷地内にある洒落た建物・ムーセ旧居(旧神子畑鉱山事務所)

土日祝のみ会館・冬季休館。
生野から移築された洋館はコロニアルスタイル(植民地様式)と呼ばれ、
フランス人技師のムーセが暮らした明治の建物を保存修理したもの。
中では、神子畑選鉱所の資料や写真が展示されている。
神子畑選鉱所の模型や、鉱石。

在りし日の神子畑選鉱所の写真。

時代のうねりをひしひしと感じる。
不夜城の様相で、煌々と灯りを放ち、
轟音を立て操業していた頃の神子畑選鉱所が目に浮かんできました!
今は紅葉の中、静かな跡のみ…
産業遺産そのものでした。

神子畑選鉱所から、明延鉱山に向かいます〜☆